アメリカではブックメーカーは違法なの?

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大谷選手の元通訳だった水原氏が所属チームのドジャースから解雇されたという3月20日の報道は、日米に大きな衝撃を与えました。大谷選手の結婚報道で日本中が祝福ムードに包まれた記憶もまだ新しかったこともあり、ショックを感じた方も少なからずいたことでしょう。

水原氏の解雇理由は違法賭博への関与とされていますが、この違法賭博を取り仕切っていたのが「ブックメーカー」と呼ばれる賭け屋と言われ、にわかにこのブックメーカーというあまり聞き慣れない言葉への注目が集まっています。

そもそもブックメーカーって何?

ブックメーカー」はサッカーやバスケ、野球など、さまざまな競技の結果に賭ける場を提供している企業のことで、1790年代にイギリスの競馬場で始まったという起源もあり、スポーツを「プレイする」「観る」以外の楽しみ方として、欧米を中心に長く親しまれてきました。

現在でもサッカーの大きなイベントや重要な試合を前に、その行方を報じる記事などの中で「オッズは〇倍」という表現を見かけることがしばしばありますが、このオッズを提供しているのがブックメーカーです。2000年頃までは店舗型ブックメーカーがメインでしたが、その後はインターネットの普及により、ウェブ上のオンラインブックメーカーを指すことが一般的になりました。

現在では、日本語で展開するブックメーカーも多数あり、それらをレビューするサイトなどもあるようで、日本でもそこまで苦労することなくブックメーカーに関する情報を集められるようです。

スポーツベッティングとは違うの?

ところでブックメーカーとほぼ同義的に扱われる言葉に「スポーツベッティング」というものがありますが、厳密には「スポーツベッティング」はスポーツに賭けるという行為、「ブックメーカー」はその賭けの場を提供している胴元、という違いがあります。

一方で、ブックメーカーもスポーツベッティングもある程度の幅を含む言葉です。例えば、日本では野球や相撲などで過去に八百長疑惑などが報じられたこともあり、スポーツに賭けるというとどこか違法なイメージが付き纏いますが、欧米では必ずしもそうではなく、スポーツに賭けることが合法な国や、各国の当局からライセンスを受けた上で合法的に営業しているブックメーカーもあります。もちろん、スポーツベッティング自体が合法とされていない国や、違法ブックメーカーもあります。

ブックメーカーはアメリカでは合法なの?

ここで冒頭の水原氏の件に戻りますが、アメリカではスポーツベッティングは合法なのでしょうか?ラスベガスやアトランティックシティといったギャンブルで知られた街もあり、合法なのでは、と思うところですが、実はギャンブルの法的地位は州によって違います。

例えば、ラスベガスのあるネバダ州や、アトランティックシティのあるニュージャージー州がギャンブルが合法の州として知られていますが、2018年に米最高裁がスポーツベッティングを違法とする連邦法を無効とする判断が行われた後、多くの州でスポーツベッティングの合法化が進み、2024年3月現在、50あるアメリカの州のうち、ニューヨーク州やペンシルバニア州など38の州で合法となっています。

一方、大谷選手の所属チーム「LAドジャース」のホーム、ロサンゼルスがあるカリフォルニア州はというと、こちらはスポーツでの賭け事を合法とはしていません。今回の水原氏の報道で「違法ブックメーカー」という表現を使う日本のメディアも見られましたが、カリフォルニアではスポーツベッティングを行うことがそもそも違法となります。

水原氏がギャンブル依存症であったとも報じられていますが、大きな焦点は、アメリカでは大谷選手がスポーツベッティングに関わっていたか否かへと移っています。ギャンブルに関しては各国や州で大きくルールが違うため、少しでも背景を知っておくと、ニュースの解像度が上がるかもしれません。

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